赤い炎症性のにきびの原因といえば「アクネ菌」と、どこかで聞いた覚えのある人もいるでしょう。この「アクネ菌」ってそもそも何なのでしょう?
アクネ菌は前述のように、炎症性のにきびの元凶の様に扱われていますが、実は普通の人の皮膚にも存在する「常在菌」で、ブドウ球菌と並んで、皮膚に多く存在しています。通常は皮膚の酸性度等を調節して、皮膚を外的な刺激から守るのに一役買っている良い菌のはずなのです。つまりこの菌の存在自体はなんら問題がないわけです。しかし、このアクネ菌は空気(酸素)を嫌い、皮脂を栄養として増殖するという性質から、詰まった皮脂(白にきび・コメド状態)の中では繁殖して、結果として炎症性の赤いにきびや化膿した黄色いにきびを作る原因となっています。
皮膚科では従来からこのアクネ菌に焦点を絞ったにきび治療が行われてきました。アクネ菌に焦点をおいた治療は、毛穴の中で固まったコメド(白にきび・黒にきび)を炎症性のにきび(赤にきび・黄にきび)に悪化させないという意味で効果があります。
- アクネ菌に対する抗生剤の外用療法 ~ ダラシンやアクアチム等
- アクネ菌に対する抗生剤の内服療法 ~ ミノマイシンやクラリス等
- アクネ菌の栄養となる皮脂を減少させるタイプの硫黄系の外用剤
- アクネ菌の栄養となる皮脂の分泌を減少させるスキンケアや食事療法の指導
これらが功を奏しない場合、従来の治療方法より一歩進んだ、お勧めの治療法が次の様にいくつかあります。
1.ケミカルピーリング
角質を化学薬品を用いて溶かし、コメドを取り除く効果が期待できます。
2.ウエットピーリング
化学薬品を用いずに、物理的に皮脂を吸引しながら取り除く効果があります。
3.イオン導入
皮脂の分泌抑制に働きます。
4.レチノイン酸外用
皮脂の分泌抑制に働きます。
5.PPX(フォトニュマティックセラピー)治療
従来のレーザー治療や光治療にはない、PPXだけの特殊な効果として、皮脂の排出・排膿効果があります。この吸引によるもうひとつの効果とメラニン・ヘモグロビン・皮脂への吸収率の高い短波長の光が、治療結果に相乗効果をもたらします。皮脂の排出・排膿効果により、にきびの速やかな改善だけでなく、過剰な皮脂をコントロールし、毛穴の開大や黒ずみにも効果的です。 |
PPXの光(IPL)は、400~1200nmの波長で、ピークが440~550nmです。この波長はポルフィリン、ヘモグロビン、メラニンに反応し、にきび菌を殺菌したり、皮脂腺にダメージを与え、にきび・にきび跡の赤みや色素沈着を改善します。ただこの波長域の光は皮膚の深い部分には到達しにくいため、吸引という方法を併用し効果を発揮します。
準備 | 吸引 | 照射 | 解除 |