にきびの形成とホルモンが密接に関連していることはよく言われています。 ここでいうホルモンとは女性ホルモンと男性ホルモンのことです。両方のホルモンともにそのバランスの乱れがにきびの形成に関与するとされています。なんだか難しそうな内容ですね。これは具体的にはどういうことでしょうか。この問題の答えは、ひとつではありませんが、一般的には、「卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌がへり、男性ホルモンがふえている状態」といえるでしょう。 |
にきびに関与する男性ホルモン(とりわけジヒドロテストステロン“DHT”やデヒドロエピアンドロステロン“DHEA“という物質)は、
- 皮脂腺の発達そして、皮脂(中性脂肪)の分泌の産生・増加を促す働き。
- 皮膚のターンオーバーの遅延をおこし、剥がれ落ちるはずの皮膚の細胞が剥がれ落ちにくくり、この古い細胞が毛穴をふさぐ。
この2点によってにきびの産生に関与します。
つまり、もともと男性はにきびが出来やすいということになります。一部の女性でも、これらDHTやDHEAの量が正常よりも多くなっている場合もあります。おのずからこれらの女性ではにきびが生じやすいというわけです。
では、一般的な女性のにきび患者さんの場合はどうでしょうか?
女性のにきびの患者さんの多くが、生理前にはにきびが悪くなり、生理が始まると落ち着くという周期があるといいます。
彼女達のほとんどは月経は正常なことが多く、ホルモン異常もありません。では、どうして生理前に悪化するのでしょうか?
卵巣から分泌される女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があります。このうち、生理後から排卵日くらいまで(卵胞期)の間に増えてくるのがエストロゲンです。このエストロゲンは、皮膚の新陳代謝をうながし、滑らかでみずみずしい肌を保つ作用があります。これに反して、排卵日から次の生理くらいまで(黄体期)に増えてくるのがプロゲステロンです。プロゲステロンは、前述の男性ホルモン様の作用を持っています。よって、このエストロゲンの分泌の低下と相まって、にきびの悪化につながるようです。 |
ではこのようにホルモンバランスの崩れた状態を治療するにはどうしたらよいでしょうか?
こうした内的要因が深く関与している場合のにきび治療は従来の保存的な治療のみでは再発が多く、難治例も多いと予想されます。この概念をもって行う抗男性ホルモン様作用療法は今までの一般的な皮膚科的治療とは異なる為、有効性も期待できる治療と言えるでしょう。以下に代表的な治療法を挙げてみます。
ホルモンバランスを整えるという意味合いから様々な治療法があります。
1.漢方療法
桂枝茯苓丸加意苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
加味逍遥散(かみしょうようさん)等
※上記は医療用漢方製剤であり、医師の処方が必要です。
2.プラセンタ療法